クリニック概要

医院名
なかしま脳神経外科クリニック
院長
中島 利彦
住所
〒502-0929
岐阜市則武東2丁目15-18

診療科目
脳神経外科
リハビリテーション科
脳神経内科
専門外来
(頭痛外来、もの忘れ外来)

診療時間
9:00 - 12:00
16:00 - 19:00 
休診日:木曜午後・土曜午後・日曜・祝日
電話番号
058-215-8668

しびれの話

しびれの話

しびれとは

手や足にしびれを感じるようになった時、自分が脳の病気になったのではないかと心配される方が大勢いらっしゃいます。

もちろん、脳腫瘍や脳梗塞といった脳の病気で手や足にしびれることはありますが、実際には脊髄や末梢神経の病気でしびれがおこることの方が多いのです。

日本語で「しびれ」と表現する感覚はいろいろな感覚の異常を含んでいます。

しびれと言うと正座をした後の足のしびれを思い浮かべる方も多いと思います。

正座の後、はじめは自分の足に触っても足には手が触れている感覚がありません。

足の感覚がなくなっている感じです。

しばらくすると、足はビリビリ、ジンジン、痛いようなくすぐったいようななんとも言えない強い異常感覚に襲われます。

その感覚が薄れるに連れて足の感覚は戻ってきます。

最後に残ったピリピリ、ヒリヒリした弱い異常感覚がなくなってもとに戻ります。

このように、感覚のなくなってしまったような感じから、我慢できないようなビリビリ感、何となくヒリヒリする感じなどしびれといっても色々あるのです。

しびれを感じる場所も色々あります。

両手両足がしびれるような時や、両手がしびれる時は末梢神経の病気の可能性が高く、右側あるいは左側の足がしびれる時、あるいは両足がしびれるときは腰骨(腰椎)の病気の可能性があります。

右半身あるいは左半身がしびれる時には脳の病気が疑われます。

しびれの感じ方や、しびれる場所からどのような病気か推測することができます。

では、しびれを起こすような病気にはどのような病気があるのでしょうか。

脳、脊髄、末梢神経の病気について、次回からお話します。


脳に原因のあるしびれ

脳に原因のあるしびれは、体の右半身あるいは左半身のどちらかに一側にしびれが起こりますが、一側の手だけ、あるいは足だけにしびれがおこることもあります。

多くの場合は感覚が鈍くなったような感じです。

手足が思うように動かなくなる運動麻痺を伴っていることが多いのですが、感覚の異常だけが症状としてあらわれることもあります。

脳腫瘍あるいは脳出血や脳梗塞といった病気が原因になります。

脳腫瘍の場合は、いつとはなしにしびれを感じるようになりますが、脳梗塞や脳出血は、ある日から急にしびれを感じるようになります。

脳の中心部にある視床という部分に脳出血や脳梗塞が起こると、ビリビリしたようななんとも言えない強い異常感覚が後遺症として残ることがあります。

大きな手でわしづかみにされているような感じだと言う患者さんもあります。

強い痛みとして感じられるような時は視床痛という病名で呼ばれます。

鎮痛剤はあまり効果がなく、抗てんかん薬などを使って治療しますが、スッキリと治ることはなく患者さんは辛い思いをされます。

脳出血や脳梗塞と聞くと重病のように思われますが、軽症の場合には“何となくいつもと違う”といった軽い症状のことがありますので注意が必要です。

右半身や左半身になんとなくいつもとは違う感覚が感じられるようになったら、できるだけ早く専門医にご相談ください。


脊髄からくるしびれ

脳から来るしびれに続いて、脊髄からくるしびれについてお話したいところですが、脊髄そのものの病気はむしろ少なく、実際には脊椎(背骨)の病気がしびれの原因になることがはるかに多いため、今回は脊椎の病気からくるしびれについてお話します。

首や腰の骨つまり頚椎や腰椎の病気によって、脊髄や脊髄から出る末梢神経が障害を受けるとしびれが起きます。

椎間板ヘルニアという病気をご存知の方は多いと思います。

この病気は、5つある腰骨の骨と骨の間にある椎間板というクッションの働きをする組織が、何らかの原因で一部が飛び出して神経を圧迫する病気です。

腰痛と同時に右か左のどちらかの足にしびれが起こります。

腰の痛みと共に、太ももの後ろから膝の外側、足先にかけてしびれが起こります。

ビリビリ、ジンジンする強いしびれから感覚が鈍くなったような感じまで、いろいろな程度のしびれが起こります。

年配の方では、加齢によって腰骨が変形して、脊髄の入っている空間が狭くなってしまう腰部脊柱管狭窄症という病気になることがあります。

この場合には両足にしびれが起こりますが、しばらく歩いていると両足が痛くなって歩けなくなる、間歇性跛行(かんけつせいはこう)という症状が起こることもあります。

頚椎でも椎間板ヘルニアが起こることがあり、その場合には右手や左手どちらかにしびれが起こります。

年配の方では頚椎そのものが加齢によって変形して神経を圧迫すると同じようなしびれをおこします。

時には変形した頚椎が脊髄そのものを圧迫することがあります。

その場合には両手にしびれがおこったり、両足にうまく力が入らなくなって歩きづらくなってしまったりすることもあります。


末梢神経の病気

神経というととても細いものというイメージがあるかもしれませんが、末梢神経は太い部分ではうどん程の太さがあります。

とても細い神経が何十本も束ねられているからです。

神経は手や足の先に行くにつれて、ちょうど木の枝が枝先になるにつれて細くなってゆくように、神経も少しずつ枝分かれしながら細くなり、最後は目に見えない程の細い一本の神経になります。

末梢神経の病気には、神経が骨や靭帯などによって圧迫されることによってしびれが起こる場合と、末梢神経そのものが障害を受ける場合があります。

神経が圧迫されてしびれがおこる病気には色々ありますが、手根管症候群という病気は代表的です。

中年女性に多い病気で、親指から中指あたりまでの手のひらから手の指にかけてしびれがおこります。

しびれは明け方に強く感じられ、ジンジンと焼け付くような強いしびれのこともあります。

手首をよく動かす仕事をする人に多いと言われます。

正中神経という神経が手首のところで靭帯に圧迫されるために起こる病気です。

時には両手で同じようなことがおこり、しびれが両手で感じられる患者さんもあります。

手首を安静にしたり内服薬を飲んだりすることでしびれは軽くなりますが、靭帯を切り開いて神経の圧迫を取り除くような手術が必要になることもあります。

末梢神経の神経細胞が障害をうける代表的な病気は糖尿病です。

多くの場合は両足の足先からしびれが始まり、足首から膝へと少しずつ年月をかけてしびれが広がっていきます。

何となく感覚が鈍い様な感じ(素足でも足の裏に膜が貼ってあるような感じがする)や、ピリピリ、チクチクと痛むような感じまで、色々な感覚があります。

糖尿病の治療をきちんと行なっていれば、そう簡単にしびれが広がってゆくようなことはありませんが、糖尿病による末梢神経の障害は、目や腎臓の障害と並ぶ糖尿病の三大合併症(糖尿病によって引き起こされる病気)と言われます。

糖尿病の方はくれぐれもご注意ください。